ドローンなどの無人航空機のうち、100グラム以上の機体の国への登録が20日から義務化され、登録していない機体の飛行は同日以降禁止となった。送配電設備の保守や巡視、災害時の被災状況把握など用途が広がる中、電力各社も新制度に確実に対応している。本紙調べによる事前登録済みの機数の総計は、送配電事業会社だけで1800機以上と確認された。各社は保有するほぼ全ての機体を20日以降も問題なく使用できる体制を整えている。
電力各社は流通設備の巡視・点検用を中心にドローンの導入・活用を進めてきた。各社が17日までに登録済みまたは登録申請済みの機数を取材したところ、一般送配電事業者では、北海道が211機、東北が172機、東京が591機、中部が216機、北陸が89機、関西が372機、中国が114機、四国が36機、沖縄電力の送配電部門が3機だった。また、電源開発送変電ネットワークは13機だった。各社とも保有する機数の全てかほぼ全てを事前登録している。九州は子会社の九電ハイテックがドローンの大部分を保有しており、既に登録申請を終えている。
無人航空機の登録制度は2020年6月に公布された改正航空法に基づくもので、屋外を飛行させる100グラム以上の全てのドローン・ラジコン機が対象。無人航空機の利活用が急増する一方で、落下事故や無許可飛行が頻発したことが背景にある。所有者の把握とともに危険性を有する機体の排除につなげるのが新制度の狙いだ。21年12月20日から22年6月19日には事前登録の期間が設けられた。国土交通省によると、17日時点の登録数は約21万機に達した。
20日以降は、国交省が発行する登録記号を機体に表示しないと無人航空機を飛行させることができない。登録せずに飛行させた場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。登録の有効期間は3年。その後は更新が必要になる。飛行可能なドローンが国内全体でどの程度あるかについて、国交省は以前にもドローンメーカーなどにヒアリングするなどして把握を試みたというが、実態確認が難しく「見当がついていない状況」(国交省)が続いていた。登録義務化で定量的な機数のデータが得られることになり、今後のドローン関連の政策立案でも実効性の高まりが期待できそうだ。
電気新聞2022年6月21日
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