東北電力、トッパン・フォームズが開発

 
 東北電力とトッパン・フォームズ(東京都港区、添田秀樹社長)は21日、特殊な印刷技術や無線自動識別(RFID)機能を活用して配管の液漏れを検知するシステムを開発したと発表した。電気を流せるインキで構成した印刷配線を配管上に設置。電気を通す水の性質を利用し、本来電気が流れていない印刷配線が通電状態になることで液漏れを把握する。検知には専用の読み取り機器を使う。6月から東北電力の新仙台火力発電所で実証を進めており、外販も目指す。

 新システムは、電卓などに使用される印刷配線と、交通系ICカードに用いられるRFIDを掛け合わせた。印刷配線とICタグをリード線でつないで配管上に設置。印刷配線上で液漏れが起きて通電状態となると、その変化をICタグが感知する。専用機器をICタグにかざせば、液漏れを把握することができる。


 新システムの導入により、従来目視で行ってきた液漏れ点検がより正確に進む。検知部に近づかなくても情報の読み取りが可能なRFIDを活用することで、これまで目が届きにくかった部分の点検も容易になる。歩きながら機器をかざすだけで検知もでき、より効率的な点検に役立つ。

 いち早く液漏れを発見できるのも特長だ。配管は保温材や外装板に覆われ、早い段階で液漏れを突き止めるのが難しい。新システムは外装板内部に設置可能で、液漏れ量が少ない段階でも異常を把握できる。新システムは金属配線ではなく印刷配線を用いており、コストも既製品の約10分の1になる見込みだ。

 新システムはドローンや無人搬送車と組み合わせれば、将来的に検知作業の無人化も可能になる。東北電力とトッパン・フォームズは来年3月末まで新仙台火力で実証試験を行う予定。機能拡張を図るほか、配管を持つ他業界への外販も視野に入れる。

電気新聞2022年6月22日