薄型化により壁掛け設置が可能になった新型中速充電器

 東光高岳は9日、電気自動車(EV)向け「中速」充電器シリーズの販売を10月から開始すると発表した。1台を2~3時間で充電完了できる性能を備え、厚さ20センチメートルとコンパクトで壁掛けにも対応する。標準価格は99万8千円(税別)に抑え、補助金を用いればさらに安価になる可能性がある。8~12時間必要な普通充電器だけでは運用が難しい、EVを大量に導入している法人などへ訴求する。課金認証対応や大型車向けにシリーズを拡充することも計画する。

 一般的なチャデモ急速充電器は最大出力50キロワットであるのに対し、新シリーズは同15キロワット。ピーク電力を抑えることで電力会社との契約電力を低く設定でき、初期費用、固定費ともに大幅に低減できる。「EV100」宣言に伴いEV車両を大量に導入する法人は増加すると見込まれる。従来型の200V普通充電だけではEVの運用が難しい事業所、工場、ビルなどのニーズに応える製品として販売する。

 シリーズの第1弾として投入する「HFR1―15B11」は、本体の厚さを抑えたことで壁掛けも可能だ。スペースを取らないため、既存の駐車場にも導入しやすい。重量は60キログラムで施工性が高い。電力変換効率は94%と高水準を確保。前面はデザインのカスタマイズが可能で、企業ロゴなどを入れて脱炭素の取り組みをPRできる。ケーブルは一般的な急速充電器よりも細く軽いため、日常使用の利便性も高い。

 価格は同等出力の他社製品より大幅に低く設定。登録を進める補助対象機種となれば、国などの補助金を活用して実質的な負担をさらに抑えられる。

 23年度モデルから遠隔での状態監視、課金認証に対応する予定だ。大容量の蓄電池を搭載するバス、トラックの夜間充電など、主に急速充電器が使われていた場面でも「中速」の適用によって大幅にコストを削減できる可能性があり、様々な用途を開拓しながら売り込む。

電気新聞2022年6月10日