送配電網協議会は6日、経済産業省などが開いた再生可能エネルギーの事業規律を強化するための有識者会合で、一部再エネ発電事業者の運用や工事面の問題を提起した。運用面では、給電指令を受けた再エネ事業者の認識不足と機器の誤操作で、系統が停電したケースがあったと報告。再エネと系統を接続する工事では、再エネ事業者の用地取得が遅れるなどして、系統連系工事が遅延した事例もあったと指摘した。

 同日の「再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会」(委員長=山地憲治・地球環境産業技術研究機構理事長・研究所長)で問題を示した。


 送配電網協議会の菅弘史郎・工務部長によると、ある太陽光発電事業者が、送電線の停電作業中に無連絡で指示範囲の遮断器などを操作したという。また高圧配電線事故に伴う系統復旧後は、技術的要件が確認できるまで再並列しないルールだが、無断で再並列するケースもあった。無断で系統につなぐと容量超過で停電につながる可能性があると指摘した。再発防止に向けて、機器操作に関する不適切事例をガイドラインで発信する手法などを提案した。

 再エネ運用後の保安連絡体制にも問題があると説明。再エネ事業者側の主任技術者が代わる場合は、一般送配電事業者に連絡するよう申し合わせ書に記している。連絡なく主任技術者が代わったケースでは、系統事故時に問い合わせ先が不明になり結果的に事故が長時間化したという。

 工事面では、再エネ事業者の工程管理の不手際で、工事時期の急な変更を余儀なくされた。送配電網協議会は、再エネ事業者に適切な工事工程の組み立てを求めた。次回の検討会は6月27日。事務局は、委員や送配電網協議会の意見を踏まえて再エネの適切な導入と管理に関する案を示す。

電気新聞2022年6月7日