経済産業省・資源エネルギー庁は17日、改正電気事業法で定めた発電所休廃止の事前届け出制について、休廃止予定日の9カ月前までに届け出を求める方針を示した。10万キロワット以上の設備が対象。休廃止の定義に10万キロワット以上の出力減少も含める方向だ。10万キロワット未満の設備は、10日前までの届け出とする。今年3月の電力需給逼迫に関する検証の取りまとめに、逼迫回避に向けた今後の対策として盛り込む予定。

 17日に開いた総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の電力・ガス基本政策小委員会(委員長=山内弘隆・武蔵野大学特任教授)で示した。事前届け出制は、13日に成立した改正電事法に基づく制度となる。事後届け出制をやめることによって捻出した時間を、国による需給バランス精査や追加供給力確保に充てる。発電事業者は事前届け出までに立地自治体との調整などを終える必要がある。

 この他、前日午後4時頃に広域予備率5%を下回る場合、需給逼迫の可能性を幅広く周知する観点から、エネ庁が「需給逼迫注意報」を発令する。3%を下回る場合にはこれまで通り警報とする。加えて、前々日の午後6時頃に一般送配電事業者がエリア予備率5%程度を基準に「需給逼迫準備情報」を出す。検証の取りまとめに反映する方向で進める。

 17日は小売り政策も取り上げ、エネ庁が作成を示唆していた「電気・ガスの自由料金に関するガイドライン」の骨子案を示した。案では、小売電気事業者が「燃料費調整上限あり」のメニューを提供する場合、上限算定に用いる基準価格の設定や更新の考え方について、あらかじめ供給約款などに定めて、需要家に明らかにする行為を「望ましい」と定義した。加えて、需要家による料金メニューの比較を容易にするとともに、事業者の料金メニュー開発の参考とするため、複数の燃料費調整の事例を国が類型化して示す案を示した。

電気新聞2022年5月18日