ダイヘンのワイヤレス充電システム「D-Broad.EV」。1日に受注を開始、年間100台程度を見込む
ダイヘンのワイヤレス充電システム「D-Broad.EV」。1日に受注を開始、年間100台程度を見込む

 ダイヘンは1日、電気自動車(EV)向けワイヤレス充電システムを日本で初めて商品化し、同日から受注を開始すると発表した。最大11キロワットの大電力を系統から受けられるため急速充電が可能。11キロワット型システムの商品化は世界初となる。スポーツ用多目的車(SUV)など車種を問わず利用できる。送電コイル側の異物を検知する機能も搭載して安全性にも配慮。価格は数百万円規模を見込む。当面は実証試験用として年間100台の受注を目指す。
 
 新商品の名称は「DーBroad EV」。同社が開発した無人搬送台車のワイヤレス充電システムなどで培った技術を活用した。給電方式は「磁界共鳴方式」を採用。他社のワイヤレス充電システムは最大入力電力が7.7キロワットだが同社は11キロワットまで高めた。
 
 ダイヘンのワイヤレス充電システムを使えば10分の充電で約17キロメートル、30分の充電で約50キロメートル走れるだけの電力を確保できる。送電コイルユニットと受電コイルの距離があっても効率を落とさずに伝送できる点も特長だ。送電コイルユニットに金属があると充電に支障が出るため、異物を検知して送電を止める機能も搭載。安全対策を施した。
 
 同社は将来に新システムを量産化する展望を描いている。自治体や駐車場を運営する事業者、商業施設などに売り込む方針だ。プラグイン方式とワイヤレス充電方式を合わせた「2WAY」方式にすることも視野に入れている。
 
 EVの充電は現在、自宅駐車場などでケーブルを差して行う方式が主流だ。同社はEVの普及が進むにつれて、航続距離を伸ばすために出先で簡単に充電できるシステムの必要性が高まると見ている。
 
 ワイヤレス充電システムを商業施設やコンビニの駐車場、コインパーキング、渋滞が多発する地点などに設置すれば停車中に自動で充電可能。航続距離を伸ばせるので需要は高そうだ。