21年度、全10社が減益

 
 大手電力10社の2021年度連結決算が出そろった。燃料価格の高騰や卸電力取引市場価格の上昇などが各社の経営を大きく圧迫し、経常損益、純損益とも東北、中部、北陸、中国、四国の5社が赤字に転落。利益を確保した5社も前年度から大きな減益となった。小売販売電力量は、コロナ禍からの反動増や新電力への離脱など増減要因が入り交じり、5社が前年度から増加し、5社が減少。10社計では微減だった。


 売上高は、21年度から導入されたFIT(固定価格買取制度)に関する新会計基準により軒並み減収。この影響を除くと、全社増収になり、燃料費調整額や卸販売収入などが収益を押し上げた。

 21年度に燃料費調整の上限に達した北陸、関西、中国について、収支影響は北陸と関西が数億円、中国は数千万円と軽微だった。だが、22年度に入っても資源価格は高止まりしており、上限に達する社も増えているため、22年度決算に与える影響は大きくなりそうだ。

 資源価格は21年度に急上昇した。石炭価格(全日本CIF)の20年度平均は1トン当たり約80ドルだったが、21年度平均は2倍の約160ドルに達した。

 これに対し、各社から懸念する声が相次いだ。東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長は、「燃料の情勢がどうなるかは占えない。エネルギー使用量を国全体で抑えていくことが何よりも重要だ」と訴えた。

 四国電力東京支社の林剛史副支社長は、「燃料価格の先行きは不透明きわまりない。どうなるか想定がつきづらい」と表現。その上で、「市況状況を注視するとともに、リスクヘッジを講じていきたい」と述べた。

 各社が大きく利益を減らす中、関西は経常利益の減少幅が11.6%にとどまった。主な理由は原子力利用率の上昇で、33ポイント増の61%となり、660億円の増益要因になった。

 一方、東北は福島県沖地震に伴う火力停止などの需給影響が、経常利益を166億円押し下げた。ただ、減価償却方法の変更などにより、燃調の期ずれ影響を除いた経常利益は同32億円増となった。

 22年度見通しは、ウクライナ情勢の動向が不透明で、燃料価格の動向などを見極める必要があるため、関西を除く9社は未定とした。北海道電力の磯野高史・決算グループリーダーは、「燃料調達先の多様化や状況に応じたスポット調達に加え、化石燃料に頼らない再生可能エネルギーの導入拡大、原子力再稼働を目指して燃料費の低減を図っていく」と説明した。

電気新聞2022年5月6日