ロシアのプーチン大統領は3月31日、日米欧を含む「非友好国」と結ぶ天然ガス供給契約について、ルーブル建ての決済を4月1日から義務化する内容の大統領令に署名した。条文によると今回の義務化の対象は「気化した天然ガス」の供給契約のみで、LNGを輸入する日本への直接的な影響は少ないとみられる。実質的には導管経由のガスを調達する欧州の需要家が標的。ただユーロ建てなどの決済が可能な「特別換金口座」を設けるとの内容を含み、既存の契約に大きな影響は出ないとみられる。

 関係者によるとルーブル義務化の大統領令に抵触するのは気化ガスの供給契約としており、LNGとの記載はない。対象事業は「対外的に天然ガスを輸出する企業」が100%出資する案件とも規定。ガス輸出を一手に手掛ける国営ガスプロムやその完全子会社を念頭に置いた記述とみられ、同社が一部出資する事業などは含まれないもようだ。

 萩生田光一経済産業相は1日の閣議後会見でプーチンの大統領令について「ただちに日本に対して影響があるとは考えていない」と発言。ガスプロムが約50%出資し、日本が年間約600万トンのLNGを輸入する「サハリン2」事業などへの打撃は少ないとの見方を示した。

 政府はエネルギー安全保障の観点から、既存のロシアエネ事業から撤退しない姿勢を示す。岸田文雄首相は31日、1日の国会答弁で「サハリン2」や主に原油を輸出する「サハリン1」を手放さないと明言。萩生田経産相も2023年の生産開始を予定する北極海沿岸「アークティックLNG2」から引き上げない方針を表明している。

 ロシアによるルーブル払い義務化の動きに対しては3月28日、日本を含むG7が拒否することで一致した。

電気新聞2022年4月4日