電気工事会社の業績に銅をはじめとする原料価格の高騰が影を落としている。2021年度第3四半期決算では、電力系電工の一部で原料高による資材価格の高騰が利益を圧迫。通期業績予想を下方修正する動きもみられた。銅の国際相場をみると、年明け以降も高止まりが続いている。電工各社は銅相場の影響に神経をとがらせている。

 北陸電気工事は1月下旬に公表した21年度の通期連結業績予想に関して、純利益を前回予想から13.3%減の26億円に下方修正した。資材価格の高騰が主な要因。地域差はあるものの、その他の電力系電工も利益面への影響を注視している状況だ。

 半導体とともに非鉄金属の代表品目である銅やアルミの価格は高騰し続けている。昨年には銅の国際相場が1トン当たり1万ドルを突破した。これに伴って、日本国内でも銅建値が大台の同100万円を超えた。年明け以降も、高止まりの傾向が改善する兆しは見えにくい。

 新型コロナウイルスの感染拡大による供給懸念に加えて、脱炭素に関連したEV(電気自動車)向けなどの需要が活発化しており、価格を吊り上げているとみられる。原料高が銅電線といった資材価格に直接影響を及ぼすまでには時間差がある。ただ、工事各社にとっては、東南アジアなどからの輸送コストの上昇も懸念材料の一つになっているという。

 電気工事業界の関係者は「銅価格の高止まりがこのまま常態化すると、利益面への影響は軽視できない。サプライチェーンにも既に支障が出ており、電設資材メーカーでも危機感を強めている」と指摘する。「対策を講じようにも工事会社の手だては限られる。国に対し、柔軟な対応を働き掛ける必要性が今後出てくるだろう」と話している。

電気新聞2022年2月18日