明電舎は17日、六フッ化硫黄(SF6)ガスを使用しない14万5千Vのタンク形真空遮断器(VCB)を米アラスカ州の電気事業者に納めたと発表した。明電舎は7万2千VのSF6ガスフリー型VCBを国内外に納めているが、電圧を高めた14万5千V型の納入は世界で初めてとなる。温室効果の大きいSF6ガスを使用しない変電機器は、北米を中心に需要が高まっている。引き続き提案を続け、環境負荷低減に寄与する。
米国子会社の明電アメリカスイッチギヤを通じて、米アラスカ州フェアバンクスで電力の供給や販売を手掛けるゴールデン・バレー・エレクトリック・アソシエイション(GVEA)に3台納入した。
SF6ガス不使用型は温室効果ガスを扱わないため、VCB廃棄時にガスを回収する必要がない。絶縁に用いる乾燥空気は、周辺温度がマイナス50度でも液化しないため、寒冷地でも安定稼働する特長がある。
明電舎は2020年4月に、14万5千VのSF6ガスフリー型VCBを世界で初めて商用化した。世界で2500台以上を納めてきた7万2千V型VCBの知見を用いて、電圧を高めた。VCBは遮断にはSF6を使わないが、絶縁に用いることがある。
SF6ガスは、温室効果が二酸化炭素(CO2)の約2万3500倍。機器の稼働時に外部に漏れることがないものの、災害で損傷した場合などに漏れるリスクがある。
このため世界の変電機器メーカーがSF6フリー型VCBを開発。10万Vを超えると絶縁が難しいため、SF6ガスと同様の絶縁性能を持つ代替ガスの開発にも力を入れている。
電気新聞2022年1月18日
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