高度化法改正案で位置付け

 
 経済産業省は、水素・アンモニアをエネルギー供給構造高度化法上の非化石エネルギー源に位置付け、通常国会に提出予定の改正案に盛り込む意向だ。二酸化炭素回収・貯留(CCS)付き火力も高度化法上に位置付け、利用を促す。製造時に二酸化炭素(CO2)を排出するグレー水素・アンモニアも、燃焼の瞬間はCO2を出さないことから非化石エネルギー源に定義する。非化石電源比率“44%以上”を求める現行目標引き上げの有無は「高度化法運用の中で検討する」(経産省・資源エネルギー庁幹部)としている。

 高度化法のほか、電気事業法、省エネ法、JOGMEC法、鉱業法を束ねた「安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案」を、19日の自民党経済産業部会(石川昭政部会長)に提示した。

 高度化法は、これまでのエネルギーミックス(2030年度の電源構成)に基づき、年間販売電力量が5億キロワット時以上の小売電気事業者に対し、供給する電気の非化石電源比率を30年度に44%以上にすることを求めている。現状、非化石電源として再生可能エネルギー、原子力が定義されているが、水素・アンモニア、CCS付き火力が加わることになる。

 その一方で、第6次エネルギー基本計画は30年のエネルギー需給見通しで、脱炭素電源比率約6割を見込んだ。これに基づく目標値引き上げの有無は、今後の検討課題となる。

 電事法改正案には、大型蓄電池を発電事業に位置付けるなどの措置を盛り込む。経産省は法改正の目的として、50年カーボンニュートラルに向け、エネルギー需給構造転換の後押しや、安定的なエネルギー供給を確保するための制度整備の必要性に触れた。今回の束ね法案で、エネルギー需要・供給構造の転換、安定的なエネルギー供給の確保を同時に進めていきい考えだ。

電気新聞2022年1月20日