国土交通省と環境省は、港湾の脱炭素化に向けた支援を強化する。カーボンニュートラルポート(CNP)形成を促すため、船舶への陸上電力供給設備の導入を財政的に支援する。民間事業者を対象に、陸電設備などを設置する際の費用を3分の1補助。港湾運営会社に対しては、設置後の固定資産税の課税標準を最初の3年間、3分の2に減免する。政府は税制特例措置の裏付けとなる港湾法改正案を通常国会へ提出する方針だ。

 環境省による補助は2022年度エネルギー対策特別会計予算案で示された。全国に9カ所ある港湾運営会社を対象にした固定資産税の特例措置は22年度税制改正大綱で提示されたもので、国交省中心に取り組む。

 固定資産税の特例措置対象となる条件は港湾運営会社であることに加え、環境省の補助事業を受けていること。さらに、国交省の有識者検討会で取りまとめた「CNP形成計画策定マニュアル(初版)」に沿って各港が定めるCNP形成計画に、陸電設備に関する具体的な内容が記述されていることも条件となっている。

 停泊中の船舶は従来、船内のディーゼル発電機を稼働して必要な電力を賄っていた。陸電設備から受電できれば停泊中は船舶のエンジンを停止でき、二酸化炭素(CO2)排出抑制にもつながる。現状は陸電設備の費用の高さが普及の障壁になっているが、政府による支援を通じ普及を後押しする。

 国内の港湾では停泊中の船舶から排出されるCO2の多さが課題に挙がる。例えば神戸港コンテナターミナルでは年間約6万トンのCO2排出量のうち、約48%が停泊中のコンテナ船から排出されている。こうした状況から、停泊中の船舶から出るCO2削減の取り組みは急務だ。

 世界的にみても陸電設備の導入機運は高まっている。昨年6月には欧州主要5港で陸電に関する覚書を締結。28年までに超大型コンテナ船が寄港する全ての水域で陸電設備を最大限展開するとした。将来的には環境に配慮した港湾を選択して寄港する船舶の増加も予想される。陸電設備を普及することで国内港湾の国際競争力を高める狙いもある。

電気新聞2022年1月12日