販売開始した鉄塔フィギュア。パーツを組み立てて完成させる。関西送配電の作業員(左)がランダムに同梱されている

 国内初の「鉄塔ガチャ」がついに登場――。関電サービス(大阪市、時政幸雄社長)は鉄塔のミニチュアフィギュアを17日に発売した。モデルとなる鉄塔を保有する関西電力送配電が公認し、関電サービスが企画・監修。精巧な造りに定評のある専門メーカーが製造を担う。「鉄塔ミニチュアコレクション」と題し、全国の都市部にあるカプセルマシンなどで販売する。

 鉄塔フィギュアをカプセルトイとして販売するのは日本で初めてとみられる。近年はコアな鉄塔ファンが増えているだけに、マニアにとって垂ぜんものの逸品といえるだろう。この鉄塔フィギュアは関電サービスの吉田幸訓さんが昼休みに同僚と交わした何気ない雑談から生まれた。
 

雑談から商品化

 
 カプセルトイ好きの4人で話していた時、「送配電設備をフィギュア化すれば面白いかも」という話題で盛り上がった。根っからのガチャガチャ好きな吉田さんは「送配電事業をより身近に感じられる」という効果があると確信。コンセプトとしてまとめ、実現してくれるフィギュアメーカーをしらみつぶしに探した。

 たどり着いたのがケンエレファント(東京都千代田区、石山健三代表)。精巧な造りに定評があり、カリモク家具やパナソニックなどとコラボして製品のミニチュアを制作した実績もある。

 吉田さんは無理を承知で「電気設備のフィギュアを作ってほしい」と同社に連絡。届いた返信メールを読むと、意外にも前向きな反応だった。その後やりとりを重ね、製品化することが決まった。

 制作には苦労を要した。当初、ケンエレファントの制作担当者は「これまで鉄塔をまじまじと見たことがない。どう作ればよいか」と苦悩したという。パソコンの画面に鉄塔の写真を貼り付け、常に眺め続けた。関西送配電から鉄塔の設計図を渡されたことでより鮮明なイメージが湧き、なんとか完成に至った。

 モチーフの選定などで知恵を絞った吉田さんは「本当に作れるのかと考えていたものの、やっと実現できた。少し凝りすぎたが様々なアイデアを出せた」と満足げに話す。
 

特徴ある3鉄塔

 
 フィギュア化した鉄塔は3基。兵庫県にある「播磨西線No.1」は関西送配電エリアで一番の高さを誇る。岐阜県の「賤母線No.8」は最も古い歴史を持つ。「下小鳥線No.47」は珍しい形をしており鉄塔ファンの人気を博している。「電線ドラムとヘルメット」も製品群に取りそろえ、全4種類を説明書付きで販売している。「ラッキーアイテム」として、関西送配電作業員のフィギュアをランダムにカプセルに入れている。

 パッケージの外から中身は見えず、開けてみるまで何が入っているか分からないワクワク感が楽しめる。発売を予告してからはSNS(会員制交流サイト)上で「鉄塔ガチャ、かわいい!」や「同じのが当たっても全く問題ない。そろえられた方が鉄塔の風景になるから、むしろうれしい」などと期待する声が上がっていた。

 鉄塔フィギュアはカプセルマシンで販売するほか、全国のホビーショップやオンラインショップでも取り扱う。カプセルトイでは1個500円(税込み)、店舗などでは1個550円(同)で売り出している

(社)電気新聞2021年12月22日