LNG船は入港しても、想定を上回るペースで在庫が減少した(21年1月6日、神奈川・東扇島)

 第1位は、1月8日付1面の「寒波襲来、電力需給逼迫継続の恐れ/余力底上げへ広域機関が発電指示」。電力広域的運営推進機関(広域機関)が、需給の厳しいと予想されたエリアの事業者に発電設備の最大出力運転といった異例の指示を出したことをお伝えしました。

 第2位は「スポット価格高止まり/売り札不足でLNG火力が『息切れ』」(1月6付1面)。寒波による電力需要の伸び、それに伴うLNG在庫減などで、JEPXスポット市場の価格が高騰したことを報じています。

 この価格高騰によって、供給力をスポット市場で調達する新電力は窮地に追い込まれます。第5位の「『政府は節電要請を』新電力などから悲痛な声/スポット価格の高騰で」(1月8日付3面)は、「このままでは電力不足に陥る」といった関係者の声を取り上げました。

 発電設備の容量(キロワット)が足りていても、キロワット時が不足するという異例の状況。経済産業省・資源エネルギー庁は、燃料調達や供給力確保、広域協調の在り方などの検証に乗り出しました〈第13位「今冬需給逼迫、燃料調達など検証へ/エネ庁」(1月20日付1面)〉。
 

電力各社の収支を直撃

 
 需給逼迫は電力各社の収支にも影響しました。第7位には「今冬の需給逼迫、大手電力の業績に明暗/販売電力量増も、燃料調達厳しく」(2月10日付1面)、第16位には「冬季需給逼迫、大手電力収支にも影響/20年度決算」(5月18日付1面)がランクイン。融通といったプラス要因、追加燃料調達費といったマイナス要因の影響を分析しました。

年明け早々、各地で厳しい寒さが続いた

 こうした状況について、本紙では検証企画「顕在化した危機・令和3年需給逼迫」を1面に連載。2月2日付の初回「蓄積されたリスク噴出」が第6位に入りました。

 厳寒期が近づき需給逼迫が顕在化した20年度に対して、21年度はLNG価格の高騰が継続したため、早くから電力市場価格高騰の懸念が伝えられました。第3位「電力先物が30円を突破/LNG高騰で上昇止まらず、小売電気事業者は苦悩」(10月8日1面)は、1月物、2月物電力先物価格の急上昇を紹介しています。
 

高圧から撤退する事業者も

 
 今冬の厳寒期が近づく頃には、顧客を手放す小売事業者が出始めました。第4位「冬の需要期前に『高圧撤退』/一部の事業者で表面化、電気担う覚悟どこへ」(12月2日付1面)は、高圧供給を諦める事業者の存在を指摘。需要家保護といった観点から問題点を訴えました。

 第15位の「勝者のいないエネ価格高騰/重み増す「安全保障」、脱炭素で「余力」減り…」(11月9日付1面)では有識者に取材。エネルギー事業者が合理化を推進した結果、「多くの市場からバッファーが減り、余力不足が価格上昇をもたらしている」という分析を示しました。

 資源価格高騰は、わが国以外にも陰を落としています。第10位「英スポット価格、380円に高騰/ガス足りず、風吹かず」(9月16日付1面)は、英国の需給逼迫を紹介。その後、同国では小売電気事業者の経営破綻が相次いでいます。


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