三菱重工業グループの三菱重工エンジニアリング(横浜市、寺沢賢二社長)は1日、広島市のバイオマス発電所向けに小型の二酸化炭素(CO2)回収装置を受注したと発表した。装置の回収能力は1日当たり300キログラムで、2022年6月の稼働を予定。CO2排出量を削減量が上回る「カーボンマイナス」を、この発電所が実現できるようにする。三菱重工エンジは、今回の受注を機に運転や保守の支援体制を確立し、回収装置の拡販につなげる考え。

 回収装置を設置するのは、広島市北西部に位置する西風新都バイオマス発電所。発電所の所有者である太平電業から受注した。受注額は非公表。回収したCO2は、構内にある農業用ハウスで農作物の育成に活用する。

 発電所の出力は7100キロワット。19年10月の運転開始で、燃料には木質チップを使用する。

 回収装置は、英国の実証で使った試験機をベースに開発。自動運転機能などを追加し、商用機としての利用を可能にした。CO2を吸収するアミン吸収液に関西電力と共同開発した「KS―1」を用いることで、高い回収率も実現した。三菱重工エンジとして、商用のバイオマス発電所からCO2を回収するのは初となる。

 回収装置は、設置に必要な敷地面積が全長5メートル、全幅2メートルと小型で、トラック輸送も可能。量産しやすいモジュール構造も採用することで、多様な排出源に対応できるようにした。自家発電設備や小型発電所、工場などへの展開を目指す。今後は、遠隔監視システムによる運転支援サービスの提供も進める。

電気新聞2021年12月2日