岸田文雄首相は6日の所信表明演説で、2050年カーボンニュートラル実現に向け、「社会のあらゆる分野を電化させることが必要」と述べた。加えて火力のゼロエミッション化に向けて、アンモニアや水素への燃料転換の重要性を強調。こうした技術を活用して「アジアの国々の脱炭素化に貢献する」と訴えた。

 同日召集された臨時国会で、「人類共通の課題である気候変動問題。この社会課題を、新たな市場を生む成長分野へと大きく転換する」と訴えた。その上で、50年実質ゼロや30年度“46%減”の実現に向けて、「再エネ最大限導入のための規制の見直し、クリーンエネルギー分野への大胆な投資を進める」と述べ、投資が必要な重要課題として、送配電網のバージョンアップや蓄電池の導入拡大を掲げた。

 クリーンエネルギー戦略策定にもあらためて触れた。需要側のイノベーション、設備投資などを踏まえ、需給両面を一体的に捉えて戦略を検討する方針を示した。

 岸田首相はこの他、経済安全保障に言及し、「サプライチェーンの強靱化や基幹インフラの信頼性確保を進めるため、与党との協議を踏まえ、来年の通常国会への新たな法案の提出を目指す」とした。

電気新聞2021年12月7日