社会貢献、挑戦の歴史をたどる――。日立製作所の企業理念や創業の精神を伝える施設「日立オリジンパーク」(茨城県日立市)が5日、開所した。同市内の日立事業所海岸工場にあった2つの展示施設を日立の福利厚生施設「大みかクラブ」の敷地内に集約。1910年の創業から約110年にわたる日立の歴史や開発した技術、製品を紹介している。近隣住民や顧客、グループ会社社員に来場してもらう考え。同日は東原敏昭会長ら日立幹部が現地の式典でオープンを祝った。
創業の心と最先端技術を紹介
5日にオープンした日立製作所の展示施設「日立オリジンパーク」(茨城県日立市)。日立事業所海岸工場(同市)にあった資料館「小平記念館」と創業時の製品をそろえる展示館「創業小屋」を福利厚生施設「大みかクラブ」の敷地内に移設して、リニューアルした。両館で公開していた資料や製品は引き続き展示し、新たな展示品も加えた。年間2万人の来場を見込む。
小平記念館は、リニューアル前のコンセプト「創業者小平浪平の偉業と創業の心を永く後世に伝える」を踏襲しつつ、最先端のデジタル技術を活用して日立の歴史を紹介している。
展示ホールには、創業時の1910年から2020年までに生み出した製品、技術を並べる。1910年代の製品として、5馬力の誘導電動機や5kVAの単相変圧器などを展示した。2020年代の製品としては、再生可能エネルギーの供給を支える系統運用技術を紹介。模型やパネルを用いて系統の運用方法を説明している。
小平氏の創業に至るまでの道のり、人物像を紹介するスクリーンも設けた。携わってきた仕事、電気主任技術者としての功績を動画で紹介。資料として小平氏の日記など所持品も公開している。
「社会課題解決、変わらぬ使命」
創業小屋は、5馬力の誘導電動機が誕生した鉱山の修理工場を復元。現存する5馬力誘導電動機も展示している。電動機を生産してきた当時の動画も放映している。
オンラインで、日立オリジンパークのバーチャルツアーを来年にも開く予定。コロナ禍で来場できない顧客に利用を呼び掛ける。
5日は開所を記念した式典を現地で開いた。日立の東原敏昭会長や日立市の小川春樹市長らが出席。あいさつに立った東原氏は、「時代が変わっても、社会課題を解決する当社のミッションは変わらない。当社社員、特に外国の方に来場してもらい、ミッションと創業の思いを理解してほしい」と期待を示した。
電気新聞2021年11月8日