好ましい行動をとった作業員にトークンを付与する様子

 日揮ホールディングス(HD)と横河電機は29日、プラント建設工事現場の作業員の行動特性を可視化するシステムの実証実験を行ったと発表した。作業員が安全重視の行動などを取ると、現場監督者がブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した独自のポイント「トークン」を付与。トークンを飲み物などと交換できるようにしたところ、災害防止、作業員のモチベーション向上につながった。両社は建設現場向けにトークンを付与するシステムの実用化を目指し、検証を続ける方針だ。

 実証は、日揮HD子会社で国内のEPC(設計・調達・建設)事業を手掛ける日揮(横浜市、山田昇司社長)が宮城県石巻市で建設中のバイオマス専焼発電所(7万4950キロワット)で実施。2~7月にトークン付与システムを試験導入した。

 ブロックチェーン技術の知見を持つ横河電機がシステム構築を担った。ブロックチェーン技術はトークンの付与記録に活用。トークンの改ざんを防ぐとともに、作業者一人一人の付与履歴を管理できるようにした。

 日揮は安全重視、チームワークの発揮、ラジオ体操などを好ましい行動特性と定義。現場監督者からの声掛けや表彰などもトークン付与の対象とした。たまったトークンは飲み物やアイスクリームなどに交換できた。

 実証後のアンケート結果によると、作業員の約6割が「自発的に好ましい行動を取るようなった」と回答。現場監督者も約7割が「建設現場内に良い変化をもたらした」と答えた。

 日揮HDと横河電機は今後もバイオマス専焼発電所の建設現場でシステムを運用し、有効性を検証する。日揮グループが手掛ける海外のプラント建設工事やメンテナンス作業現場への展開も検討していく。

電気新聞2021年11月1日