東芝エネルギーシステムズなど電機メーカー9社は2日、六フッ化硫黄(SF6)ガスを使用しない電力用開閉機器の開発を推進する共同声明を発表した。SF6ガスは絶縁性能に優れるが、温室効果は二酸化炭素(CO2)の約2万3500倍に達する。9社は窒素系混合ガスなど自然由来の絶縁ガスの利用を広げ、環境負荷を抑える。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書が示した気候変動リスクを踏まえて、声明を出した。

 日本からは明電舎と三菱電機もこの声明に名を連ねた。海外からは、韓国のイルジンエレクトリック、米国の三菱電機パワー・プロダクツ、フランスのシュナイダーエレクトリックも参加。ドイツからはヌベンチュラ、シーメンス、シーメンス・エナジーの3社も加わった。

 IPCC報告書はCO2排出の影響を示している。具体的にはCO2排出を大幅に減らさない限り、2030年代初め頃までに1850~1900年と比べて気温が1.5度以上上昇する可能性があると記載した。

 温室効果ガスの排出を抑制するため、この9社は窒素ベースやCO2ベースの混合ガスをSF6ガスの代替ガスとして活用していく。SF6ガス不使用の開閉機器を拡販し、環境負荷を抑える。今回の声明は、世界の電気事業者や各国の政府関係者に発信する。

 SF6ガスを使用しない電機機器を巡っては、東芝エネルギーシステムズと明電舎がガス絶縁開閉装置(GIS)の開発で連携している。

電気新聞2021年11月4日