「小規模事業用電気工作物」新設
経済産業省は29日、電力保安規制見直しの方向性を固めた。「小規模事業用電気工作物」のカテゴリーを新たに設け、新設の10~50キロワット未満の太陽光発電、20キロワット未満の風力発電に対し、行政への基礎情報届け出などを求める。加えて、スマート保安の拡大を見据え、高度な保安力を有する事業者への規制を適正化する。次期通常国会に提出予定の電気事業法改正案に盛り込む。
同日開いた産業構造審議会(経産相の諮問機関)の産業保安基本制度小委員会(委員長=若尾真治・早稲田大学教授)で、制度改正に向けた取りまとめの大枠を提示し、合意を得た。11月29日の次回会合で決定する見通し。産業保安基本制度小委は今年2月に設置され、電力や都市ガスなど産業保安を巡る環境変化に対応する保安制度の在り方を議論してきた。
電力分野の方向性は、産構審の電気保安制度ワーキンググループ(WG)で主に議論された。小規模太陽光の保安規制を変更し、事業用電気工作物に類する扱いとする。近年の設備増加や事故増加を踏まえ、技術基準維持義務など既存の事業用電気工作物相当の規制を適用。一方、保安規程の届け出や電気主任技術者の選任までは求めず、行政への基礎情報届け出で代替する。
また、スマート保安化を見据え、高度な保安力を持つ事業者の行政手続きを簡略化する。電事法上の特例として、認定を受けた事業者を対象に、煩雑な届け出作業などを極力省くとともに自己管理型の検査を許容。画一的な個別・事前規制を改め、事業者の保安レベルに見合った合理的な規制に転換する。
10月29日の小委で電気事業連合会は「保安業務の貴重な資源の有効活用につながる。経営資源をスマート保安に配分したい」との見解を示し、制度変更を歓迎した。
次期通常国会には電事法だけでなく、ガス事業法改正案も提出される見込み。災害時連携計画に関する規定などが盛り込まれる見通し。
電気新聞2021年11月1日
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