北海道電力の技術が野菜の鮮度を保つ

 北海道電力は6日、自社が持つ農業用のLED(発光ダイオード)特許技術が、中国ハイアールグループの家電メーカーであるアクア(東京都中央区、社鏡国社長兼CEO)の新型冷蔵庫に採用されたと発表した。LEDライトの照射効果で野菜の鮮度を保つとともに、発芽も抑えるため、調理がしやすくなる。北海道電力とアクアは2つの効果を同時に実現したLED野菜室を業界で初めて開発。この野菜室を搭載した新型冷蔵庫「TZシリーズ」をアクアが15日からオープン価格で販売する。

 北海道電力は地域経済の課題解決に向けた取り組みの一環で、道の代表的な農産物であるジャガイモの緑化と発芽を抑えるLED照明装置の「ポテライト」を2016年度に開発していた。こうしたLEDによる食物の保存技術にハイアールが興味を示し、アクアの新型冷蔵庫の野菜室に活用したいと申し出た。

 北海道電力はハイアールと共同開発した冷蔵庫とLEDを用い、新たに約20種類の野菜を対象にした鮮度保持試験も実施。傷みやすいイチゴなどの腐敗を防いだり、トマトなどの軟化を抑えてみずみずしさをキープする効果などを確認した。また、ジャガイモを1カ月間保存してもほとんど発芽しなかった。調理の際に芽の除去がいらず、生ごみを減らせる。LEDの光は野菜や果物の光合成を促す効果もあるため、保存前に比べ栄養分もアップする。

 試験は20年5月から21年4月までの1年間実施。ハイアールもその後に再現試験を行い、あらためて効果を確認した。同社傘下のアクアの新型冷蔵庫「TZシリーズ」には野菜類の鮮度保持や、ジャガイモの緑化・発芽防止に関する北海道電力の特許が計4件採用されている。

 「TZシリーズ」にはアクアが旧三洋電機時代から培った除菌・脱臭機能も搭載した。色は高級感のあるダークシルバーで、プロダクトデザイナーの深澤直人氏がデザインした。

電気新聞2021年9月7日