日本企業と連携し、部品の国内調達比率を高める(写真はシーメンス・ガメサの1万1千キロワット型風車)

 スペインのシーメンス・ガメサ・リニューアブル・エナジーは、日本向け風力発電機器の製造で、国内電機メーカーとの協業を検討している。同社は日本向け風車を中国などで生産してきた。日本政府が風車部品の国内調達比率拡大を求めているため、大手を含め国内約60社と製造、調達に関する協議を進めている。競合する海外風車大手も既に製造で国内企業と連携している。シーメンス・ガメサも国内調達比率を高め、受注拡大を狙う。

 同社は世界で累計1億キロワットを超える風車を納めてきた。日本では今年8月までに約50万キロワット分の風車が稼働している。

 日本の風力発電市場は陸上、洋上ともにさらなる拡大が見込まれており、海外の大手風車メーカーが営業攻勢を強めている。ただ、日本政府が2020年に公表した「洋上風力産業ビジョン」では、40年までに風車部品の国内調達比率を60%まで高める目標が盛り込まれた。この方針により、部品の国内調達比率が高いと受注競争で優位に働くケースも想定される。このためシーメンス・ガメサは製造で国内メーカーとの協業を模索し始めた。

 風力発電機器は、タワー部や発電機などが収まるナセル、ブレード(羽根)など幅広い。シーメンス・ガメサは連携先が固まれば、機器の製造技術を供与する考えだ。

 同社日本支店のラッセル・ケイト支店長は「国内調達比率を高めても、風車のコストが高くならないようにしたい。品質も維持して安定稼働する風車を日本に納める」と話す。

 シーメンス・ガメサを含め海外の大手風車メーカーは、日本市場の開拓に本腰を入れている。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は東芝とナセルなどの製造で協業。部品の国内調達比率を高めている。デンマークのベスタスも三菱重工業と日本市場向けの販売会社を立ち上げた。

 シーメンス・ガメサが国内企業と連携すれば、日本市場におけるGE、ベスタスとの受注競争の本格化が想定される。

電気新聞2021年8月24日