締結式に参加した日揮グローバルの阪本氏(右)

 日揮ホールディングス(HD)は28日、月の砂に含まれる水分から水素と酸素を生成する「月面推薬生成プラント」の構築で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携協定を結んだと発表した。水素と酸素は月面の有人離着陸機や探査機の燃料供給に使う。両者は今後1年間かけてプラントの概念検討に取り組み、建設や運用に必要な研究課題を洗い出す。

 日揮グループは1980年代から2000年代初頭まで、ソ連の宇宙ステーションを利用し、宇宙環境下での材料実験などを手掛けていた。その後、宇宙関連事業は途絶えていたが、18年から社内の有志数人が同事業に再参入するための検討を始めていた。

 20年12月には、月面推薬生成プラントの実現を目指す組織「月面プラントユニット」を新設した。日揮グループが培ってきたプラント建設の知見を生かし、月面でのエネルギーインフラ構築に貢献する考え。

 日揮グループで海外のEPC(設計・調達・建設)業務を担う日揮グローバル(横浜市、山崎裕社長)とJAXAは21日、オンラインで連携協定の締結式を開いた。日揮グローバルからは執行役員・エンジニアリングソリューションズセンターバイスプレジデントの阪本冨美男氏が出席し、JAXAと協定書を取り交わした。

 JAXAは30年代に長期間の月面有人探査を行う計画。JAXAはホンダとも協力し、太陽光と水から酸素や水素を製造する「循環型再生エネルギーシステム」の検討を進めている。

電気新聞2021年6月29日