今年2月の福島県沖地震の影響で停止していた東北電力の火力発電所が全て復旧した。先行して稼働した原町火力発電所1、2号機(石炭、計200万キロワット)に続き、仙台火力発電所4号機(天然ガス、46万8千キロワット)が、5日午後5時に運転を再開。冬場に主力の火力発電所が稼働できない状況に陥りながらも、早期の復旧と供給力確保に向けた施策を進めて安定供給を維持した。
宮城と福島の両県で最大震度6強を観測したこの地震は、仙台4号機、原町1、2号機という東北電力の主要火力に大きな設備被害をもたらした。仙台4号機はタービンや発電機の軸受けが損傷したほか、ガスタービン室の換気ファンも脱落。原町はボイラー内部の配管が被災し、特に1号機では被害箇所が広範囲に及んだ。
設備被害を受け、東北電力は即座に復旧に着手。迅速な作業も奏功し、原町2号機は3月下旬、同1号機は当初の6月上旬から5月下旬に前倒しする形で運転を再開した。仙台4号機も運転再開時期を7月下旬から7月上旬に早めるなど、早期復旧にこぎ着けた。
一方、主要火力が稼働できない間の供給力確保にも力を注いだ。地震前は停止していた八戸火力発電所5号機(LNG、41万6千キロワット)、秋田火力発電所4号機(重油・原油、60万キロワット)、新潟5―2号系列(天然ガス、5万4500キロワット)などについては、地震後の早い段階から運転の準備に入った。
これらの発電所は従来も需要動向に合わせて運転と停止を繰り返してきたが、地震後も電力需要に的確に対応。安定的な供給を支えた。このほかにも火力発電所の点検時期を見直して、需要に合わせて保守業務を柔軟に進めた。
一連の取り組みが機能し、大きなトラブルもなく被災火力の全復旧を迎えた。東北電力では「今後も安全を最優先に、発電所の安全運転に万全を期す」としている。
電気新聞2021年7月7日
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