会長に甘利氏(左)、顧問に安倍氏(中央)が就任した

 自民党の「未来社会を創出する、バッテリー等の基盤産業振興議員連盟」の設立総会が11日、党本部で開かれた。2050年カーボンニュートラル実現の鍵を握る蓄電池を「国家の命運を左右する極めて重要な戦略分野」と位置付け、国際競争力の向上策などを検討する。電気自動車(EV)や定置用蓄電池を活用するVPP(仮想発電所)の推進などを政府に求める緊急決議を同日決定。今後の経済対策、税制改正などへの働き掛けを強める構えだ。

 三宅伸吾参議院議員の呼び掛けで議連が発足した。事務局長に三宅氏が就任したほか、会長に甘利明衆議院議員、顧問に安倍晋三前首相が就いた。甘利氏はあいさつで、将来の再生可能エネルギー大量導入などを踏まえ「蓄電池は屋台骨を支える重要な産業。政策的に支援する」と強調。安倍氏は、「経済安全保障を念頭に議論を進めてほしい」と述べた。

 緊急提言ではVPPのほか、蓄電池・材料の大規模生産拠点について、国内立地への支援を要望。蓄電池の国内需要確保のため、電動車の普及拡大に向けた包括措置も訴えた。

 2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏も講演した。中国に続き、欧州連合(EU)や米国の自動車メーカーがEV化に進む中、主要国の中で日本だけがガラパゴス化し「危機的状況だ」と強調。移動手段だけでなく、EVを蓄電池として再生可能エネルギー安定化などに役立てる取り組みが、普及の鍵を握ると指摘した。

電気新聞2021年6月14日