経済産業省は、総額2兆円のグリーンイノベーション基金事業の支援候補として、18のプロジェクトを定めた。洋上風力の低コスト化、再生可能エネルギーを用いた水電解による水素製造、カーボンリサイクルなどを支援する方向。具体的な予算額など詳細については、分野別ワーキンググループ(WG)の審議の後、経産省を中心とする担当省庁のプロジェクト担当課室が研究開発・社会実装計画として策定する。

 6日から8日にかけて書面開催した産業構造審議会(経産相の諮問機関)のグリーンイノベーションプロジェクト部会(座長=益一哉・東京工業大学学長)を踏まえ、分野別資金配分方針を決めた。二酸化炭素(CO2)削減効果や経済効果、研究開発の困難度など政策支援の必要性、市場成長性などを勘案して方向性を示した。18以外のプロジェクト組成や実施中プロジェクトの加速に向け、2兆円の3割程度を留保枠として確保する。

 原子力については、昨年末に示されたグリーン成長戦略に盛り込まれたが、対象とならなかった。基金が造成される新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、法律で専ら原子力開発のために用いられる技術開発を実施・補助することはできないと定められており、2兆円基金による支援は困難とみられる。

 ◇想定プロジェクトは次の通り。

 【グリーン電力の普及促進分野】▽洋上風力発電の低コスト化▽次世代型太陽電池の開発

 【エネルギー構造転換分野】▽大規模水素サプライチェーンの構築▽再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造▽製鉄プロセスにおける水素活用▽燃料アンモニアサプライチェーンの構築▽CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発▽CO2等を用いた燃料製造技術開発▽CO2を用いたコンクリート等製造技術開発▽CO2の分離・回収等技術開発▽廃棄物処理のCO2削減技術開発

 【産業構造転換分野】▽次世代蓄電池・次世代モータの開発▽自動車電動化に伴うサプライチェーン変革技術の開発・実証▽スマートモビリティ社会の構築▽次世代デジタルインフラの構築▽次世代航空機の開発▽次世代船舶の開発▽食料・農林水産業のCO2削減・吸収技術の開発

電気新聞2021年4月12日