実証で使用したドローン

 東京電力パワーグリッド(PG)、NTTデータ、日立製作所、中国電力ネットワークが出資する「グリッドスカイウェイ有限責任事業組合」は30日、架空送電線点検を模擬したドローンの目視外飛行に関する実証実験を茨城県城里町・那珂市で実施した。東電PG那珂線(27万5千V)11~19号鉄塔間の約2・8キロメートル上を自動で飛行。レベル3飛行(目視外飛行)による幹線道路横断も行った。

 飛行ルートは那珂線の鉄塔が並ぶ田畑上空。ルート途中には幹線道路も通る。ドローンが幹線道路上に到着するとホバリングし、東京・虎ノ門の同組合オフィスから鉄塔に設置したカメラで歩行者や自転車が飛行経路下にいないことを確認した上で飛行を再開した。ドローンが幹線道路上空を横断するのは、電力会社では初の取り組みとなる。

 過去に幹線道路上空を飛行する事例はあったが、ドローンが横断する際に道路を通行止めにして行っていた。今回は既存設備の鉄塔を活用して歩行者の通行を確認した。ルーチェサーチ(広島市、渡辺豊社長)の機体を使用。ドローン飛行は、航路ルートのプログラミングによって自動で実行した。

 実証を行ったポイントは田畑が広がり、開けているため、比較的見通しが良い。ただ、山間部に入ると斜面を登るなどしなければならず、保守員への負担が大きい。目視外飛行が実現することで、業務効率化に寄与できる。東電PG茨城総支社の武藤悟司総支社長は「巡視以外にも、災害時などにトラブル箇所を早期に発見することで、迅速に復旧の手だてをつけられる」と期待を寄せる。

 グリッドスカイウェイは、ドローン目視外飛行実現に向けた航路プラットフォーム構築を目的としている。これまでに地表150メートル以上の飛行や、幹線道路の横断飛行を実施。2021年度は、鉄道や高速道路の横断飛行の実証を予定している。

電気新聞2021年3月31日