アンモニアと天然ガスを混焼した2000キロワット級ガスタービン

 IHIは3月26日、2千キロワット級のガスタービンでアンモニアの混焼率7割を達成したと発表した。航空機エンジンの開発で培った知見を生かし、燃焼器の噴射弁などを改良。アンモニアの燃焼が安定化し、窒素酸化物(NOx)の排出も抑えた。一時的だがアンモニア専焼も達成しており、2025年をめどにアンモニア専焼のガスタービンを商用化する考え。

 アンモニア混焼の研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業となる。IHIが昨年10月から始めた。同社横浜事業所(横浜市)に2千キロワット級の試験用ガスタービンを配備し、アンモニア混焼5割以上を目指した。

 液体アンモニアを燃焼器に投入すると、その気化熱によって急激に燃焼器の温度が低くなる。さらにアンモニアの燃焼速度は天然ガスに比べて遅く、安定して燃やすのは難しい。IHIは航空機エンジンの技術を応用して、燃焼器を改良。噴射弁を改造したほか、従来以上に内部の空気をかき混ぜる構造にして、アンモニア混焼率を7割まで高めた。

 IHIはアンモニア専焼に向けて、引き続き燃焼の安定化やNOx排出を抑える方法を検討する。長時間運転時の耐久性なども検証する。

 IHIの混焼方法は液体アンモニアを用いる。気体アンモニアを燃焼器に投入する方法もあるが、気化器などの付帯設備が必要になる。IHIはアンモニア混焼時の初期コストを抑えるために、液体で貯蔵されているアンモニアを直接利用する方法を選んだ。

 アンモニアは燃焼時に二酸化炭素(CO2)が出ない。化学原料として広く利用されており、供給インフラも整備されている。発電燃料に用いることで、エネルギー分野における温室効果ガスの排出抑制が期待されている。

電気新聞2021年3月29日