2号タンク(手前)が完成した日立LNG基地

 東京ガスは11日、高圧ガスパイプライン「茨城幹線」の運用を開始したと発表した。日立LNG(液化天然ガス)基地(茨城県日立市)から同県神栖市まで92・6キロメートルを結び、これまで一本道だった北関東圏をループ化した。東ガスのネットワーク全体で1割程度の輸送能力増強につながる。日立基地の2号タンクも完成し、10日から運転を開始した。首都圏の供給安定性を高め、需要増加に対応する。

 根岸LNG基地(横浜市)、扇島LNG基地(同)、袖ケ浦LNG基地(千葉県袖ケ浦市)の東京湾3基地を起点とした東京圏のループに、北関東圏が加わった。日立基地は2016年3月に運転を開始したが、東京方面とつながるパイプラインは「茨城~栃木幹線」(日立市~栃木県真岡市)経由だけだった。同基地から南下する茨城幹線と、千葉方面から神栖市まで延びる幹線が接続されたことで第二の環状網が完成。東ガスの高圧パイプラインやLNGタンクの建設は今回で一段落した。

 茨城幹線は17年4月に着工。約92キロメートルを8つの工区に分割し、このうち7工区(約80キロメートル)はJFEエンジニアリング、残り1工区(約12キロメートル)は東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES、東京都港区、比護隆社長)が施工した。シールドトンネルは6カ所あり、2カ所が大成建設、残り4カ所を鹿島、前田建設工業、清水建設、竹中土木がそれぞれ担当した。

 10日に運転を開始した日立基地の2号タンクは外径約90メートル・高さ約60メートルの地上式で容量は23万キロリットル。天然ガス需要の増加に対応するため計画し、18年4月に着工した。日立基地には容量23万キロリットルの1号タンクのほか、5万キロリットルのLPG(液化石油ガス)タンクなどがある。

電気新聞2021年03月12日