年内の商用化を目指すZNB

 日本ガイシは2021年後半にも、開発中の亜鉛二次電池「ZNB」を商用化する。屋内設置可能な蓄電池としての需要を見込み、将来的に数百億円規模のビジネスに成長させる。ZNBの商用化と、同社が得意とするNAS(ナトリウム硫黄)電池の販路拡大も併せて、エナジーストレージ事業を伸ばす。

 本紙のインタビューで大島卓社長が明らかにした。同社は20年度から電力事業本部をエネルギーインフラ事業本部に改称。同本部でガイシ事業とエナジーストレージ事業を展開している。エナジーストレージ事業はNAS電池の製造・販売がメインとなる。
 開発中のZNBについては現在他社との実証を進めており、年内には商用化したい考えだ。ZNBは内部発火や熱暴走のリスクがないといった特長がある。米国の第三者認証機関ULから蓄電池分野で世界初となる「UL検証マーク」を取得。学校や病院、商業施設、通信基地局などでのBCP(事業継続計画)対策用の需要を見込んでいる。

 大島社長は「安全性が高く、コスト競争力もある」と指摘。将来的なZNBの販路拡大にも自信をのぞかせている。

 一方、02年から事業化したNAS電池も世界的なESG(環境、社会、企業統治)投資や「50年カーボンニュートラル」も追い風に、さらなる需要増が期待できる。

 大島社長は「各企業が環境投資を意識してきている。非常用発電機からNAS電池に切り替えたいという需要もある」と強調。「NAS電池の提供だけにとどまらないビジネスモデルも検討している」との見解も示した。

電気新聞2021年1月25日