電力・ガス取引監視等委員会は1月25日の有識者会合で、スポット市場価格の高止まり時の「売り惜しみ」など、大手発電事業者の相場操縦行為は現時点で確認されないという調査結果を示した。大手電力各社やJERAからデータの提出を受け、売り入札量が燃料制約を踏まえて算出した入札可能量と整合していたかを分析した。また、スポット価格と連動して高騰したインバランス料金の動きも引き続き注視し、一般送配電事業者のインバランス収支状況などもみながら何らかの対応が必要かを検討するとした。

 スポット市場は昨年12月下旬以降、売り札が減る一方で買いが過熱し、約定価格が急騰した。電力・ガス監視委が25日の制度設計専門会合(座長=稲垣隆一弁護士)に示した分析では、12月26日頃から大手電力とJERAの売り入札量が約2億キロワット時低下した。要因には(1)LNG(液化天然ガス)の燃料制約による火力発電所の停止や出力低下(2)みなし小売電気事業者の需要の増加(3)一部大手電力のグロス・ビディングによる売買入札の取りやめ――を挙げた。

 1月4日以降はLNG火力の停止・出力低下が減って供給力は回復したが、他社への卸供給も含むみなし小売電気事業者の需要も増加し、売り入札量は増えなかった。ただ、一時約8億キロワット時に落ち込んだ売り入札量が足元は9億キロワット時まで回復し、約定量も増えたとした。売り入札価格については12月28日と1月14日の最高値コマの需給曲線を例示。これらのコマでは約99%が15円未満の価格で拠出されたと説明した。

 委員・オブザーバーからは電力需給逼迫について幅広い意見が出た。岩船由美子委員は「予備率と燃料制約の関係がしっかり議論されるべきだ」と指摘した。

電気新聞2021年1月26日