◆欧米では「リモートセンシング技術」が主流に◆


 日本国内で風力発電所の開発が進んでいる。2017年3月時点での累計導入量は2245基・337万8000キロワットとなる見込み。運転開始までのリードタイムが短い太陽光に水をあけられたが、着実に導入量を伸ばしている。風力発電所の開発で最も重要なのが風況観測だ。電波、音波、光などを利用して上空の風向風速を計測する方法をリモートセンシングと呼ぶ。風況観測用のマストを用いる手法よりも設置が容易で、風況観測を開始する準備に要する時間も短縮できる点が特徴だ。風力発電市場が確立された欧米では、開発前に実施する風況観測の主流となりつつある。

 

◆国内での風力発電導入状況
 2016年度、15年度の約2倍/今後は「経済的自立」が急務

 

風力設備の累計導入量は300万kWを超えるなど着実に拡大している(写真は御前崎風力発電所)

風力設備の累計導入量は300万kWを超えるなど着実に拡大している(写真は御前崎風力発電所)

 日本風力発電協会が取りまとめた国内風力発電設備の導入量(速報値)によると、16年度の導入量が147基・30万キロワットに達する見通しだ。15年度の導入量は73基・15万7千キロワットだった。単年度の導入量としてほぼ倍増になる。17年3月末時点での累計導入量は2245基・337万8千キロワットとなる見込み。昨年末時点で、環境アセスメント手続き開始後の段階にある案件は、1千万キロワットを超えている。同協会は、こうした案件が順調に稼働すれば、「20年代の早い段階で累計導入量1千万キロワットを達成できる可能性がある」としている。

 昨年12月に開催された調達価格等算定委員会で、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)による出力20キロワット以上の風力発電に関して、価格が改定される案が示された。事業者の予見性を高めるため、複数年度にわたる買い取り価格も新たに設定。出力20キロワット以上の陸上風力では、発電コストの低減や国民負担の抑制なども踏まえ、17年度以降に毎年1キロワット時当たり1円ずつ低減する案が示された。今後、風力発電も経済的な自立が求められることなる。

 調査会社の富士経済は、30年の世界の風力発電システム市場が9兆7200億円に達するとの調査結果をまとめている。15年の市場規模は6兆7489億円で、16年は5兆9119億円まで落ち込む見込みだが、その後は順調に市場が拡大していくとみている。

 15年は456億円の市場規模だった国内は、22年頃まで導入が順調に進み、30年には2160億円まで拡大すると予想。ただ、さらなる導入に向けて系統増強や連系線利用に間接オークション制度の採用、出力抑制に対して政府補償を行うことなどが必要になると指摘する。

 風力関連市場も拡大することが見込まれる。定期点検や補修が対象の「オペレーション・メンテナンス・サービス」については、風力発電の稼働基数が増えるにつれて、右肩上がりで成長することが期待される。

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