電力・ガス取引監視等委員会の料金制度専門会合(座長=山内弘隆・一橋大学大学院特任教授)は14日、新たな託送料金「レベニューキャップ制度」について、詳細設計の大枠を決定した。今後は、2021年1月に料金制度ワーキンググループ(WG)を設置して、具体的な収入上限の算定方法など専門性の高い論点を取り上げる。一般送配電事業者の料金審査は22年4月から始まる予定。監視委では、21年夏~秋頃の検討終了をめどとして、WGでの議論を進め、21年中の省令改正を目指している。

 レベニューキャップ制度は、今年6月に成立したエネルギー供給強靱化法の電気事業法部分に盛り込まれ、7月から詳細設計が始まった。新制度では、まず国の指針に沿って一定期間に達成すべき目標を記した事業計画を一般送配電事業者が策定。事業計画は、供給計画や電力広域的運営推進機関(広域機関)が策定するマスタープランなどとの整合性を保ちつつ、目標達成に必要な投資計画も記載する。その上で、一般送配電事業者は事業計画の実施に必要な費用をもとに、収入上限を算定。国に提出し、承認を受ける必要がある。

 5年間に決まった規制期間中は、収入上限を超えない範囲で託送料金が設定され、一般送配電事業者は事業計画に基づいて事業を行う。実績費用が収入上限を下回る場合、効率化分は事業者の利益となる。規制期間終了時に事業計画の達成状況評価などを行い、翌期に反映する。こうした流れの中で、WGでは実績需要が想定需要を上回った場合の期中での託送料金引き下げの基準や、利益や損失の翌期への反映方法、一般送配電事業者による託送料金算定ルールなどを検討する方針。収入上限の査定手法や効率化係数の水準などが議論を呼びそうだ。

 料金制度専門会合では統計査定を通じ、各社の横比較で効率化が遅れている事業者に取り組みを促すとともに、業界全体の創意工夫、技術革新を促進するため、生産性向上見込み率などを用いた効率化係数を設定する方向が示されていた。

電気新聞2020年12月15日