JERAは22日、浮体式洋上風力発電の優れた基礎技術を保有する仏イデオルと仏政府系投資会社の2社と、浮体式洋上風力の開発会社設立に向けて19日に基本合意したと発表した。今後設立する開発会社はイデオルの技術を活用し、プロジェクトの建設初期段階までを担う。今後、3社で協議を進め、2020年中にフランスで設立し、JERAは3割程度を出資する予定。設立から5年以内に、計200万キロワットの複数案件の開発着手を目指す。

 イデオルと仏政府系投資会社が、JERAに参加を要請。JERAはエネルギーポテンシャルが大きい浮体式洋上風力に開発の早期段階から参画することでノウハウを蓄積するとともに、高収益が見込めることから参加を決めた。

 プロジェクト開発では、一般的に進捗と収益性が反比例する。初期段階はリスクが大きい一方で、収益性は高く、プロジェクトに適用する技術など全体の内容を決めることができるというメリットがある。

 開発会社は許認可の取得や入札の参加から建設初期までを担当し、その後は案件を売却するビジネスを展開する計画。当面は2020年代前半にスコットランドやフランスで浮体式洋上風力の入札案件が予定されており、これらの落札を目指す。

 その他でも世界中の浮体式洋上風力発電案件を対象とし、売却する案件の条件が良い場合には、JERAが事業会社として建設初期以降も携わっていく可能性がある。

 イデオルは浮体式洋上風力の設計や事業開発などを手掛けており、「ダンピングプール」という独自の基礎技術を保有している。この技術は荒れた海上などでも風車の揺動を抑制する特性に優れており、これまでフランスや日本国内の浮体式洋上風力に適用されている。

 仏政府系投資会社は環境・エネルギー管理庁の傘下で、2018年に設立された。商業段階前の革新的なインフラ技術などを対象に投資を行っている。

電気新聞2020年6月23日