JERAは1日、JXTGエネルギー、大阪ガスとの共同出資会社を通じ、川崎市扇島地区で開発を進めていた都市ガス製造用の熱量調整設備(熱調)が商業運転を始めたと発表した。年110万トンの都市ガス製造能力を備える。JERAは製造した都市ガスを品川火力発電所(東京都品川区、114万キロワット)に燃料として供給予定。JXTG、大阪ガスは都市ガスの小売りなどに活用する。
熱調は天然ガスにLPG(液化石油ガス)を注入し、都市ガスの標準熱量に合わせる設備。扇島の設備は、3社が共同出資で2017年10月に設立した「扇島都市ガス供給」が運営・管理する。3社の出資比率はJERAが69%、JXTGが16%、大阪ガスが15%。
JFEエンジニアリングが建設工事を担い、18年6月に着工。2年弱を経て当初計画通り完成した。JERAが原料となる天然ガスの供給と設備のオペレーション、JXTGがLPGの供給、大阪ガスが設備運営支援を担い、円滑な設備運用につなげていく。
製造した都市ガスは、東京ガスの扇島LNG(液化天然ガス)基地内に設置した受け入れステーションから、同社の既存ガス導管網に注入し、需要地に供給する。3社の引き取り数量は非公表だが、JERAは主に品川火力の発電用燃料として供給する。
JERAとJXTGが東京大井地区で参画する水素ステーション事業の水素製造用原料としても活用を見込む。JXTGと大阪ガスは、首都圏で展開している都市ガス小売りなどに活用する。
JERAが参画する熱調は、東京電力フュエル&パワー(F&P)が姉崎火力発電所構内に建設し、JERAに承継したものに次いで2例目。扇島の熱調運開に伴い、都市ガスの供給力が一層厚みを増したことになり、首都圏でのガス小売り競争への影響が注目される。
電気新聞2020年4月2日
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