中部電力は、千曲川の決壊によって浸水した配電用変電所の豊野変電所(長野市豊野町)に移動式変電所を設置し、早期復旧に取り組んでいる。15日までに仮電力ケーブルの設置や引き込みリード線作業、配電線ケーブルの設置を行った。中部電力の関係者が15日夕、豊野町の各避難所を回り、浸水した家屋への送電については、顧客立ち会いのもとで屋内配線の安全を確認した上で再開する旨を説明し、協力を要請。16日から家屋への訪問を順次開始した。
16日、長野市豊野町にあるJR豊野駅周辺で中部電力社員による復旧作業が実施された。作業員が電柱一本一本に昇り、送電を再開する作業を実施。漏電調査も行い、住宅の安全を確認していた。作業に当たった同社社員は「班員と情報共有をしっかりと行い、体力と安全に気を付けて作業に臨んでいる」と話した。停電が解消すると、住人からは「ありがとう」と感謝の言葉が作業員に掛けられていた。
中部電力は台風19号の影響で設備被害を受けた。豊野変電所、屋代変電所が浸水で停止。中部電力長野支店によると、豊野変電所が深さ170センチメートル、屋代変電所が50センチメートルまで浸水したという。現在、屋代変電所は設備の健全性が確認できたため、運転を再開している。
中部電力エリアの停電戸数は、16日午後3時時点で長野県内の約4880戸まで減少した。早期復旧に向け約1万1千人体制で作業を続けている。15日夜の時点では長野市豊野地域、土砂崩れや道路陥没などが起こっている一部地域を除き、17日までに復旧を完了する見通しとしている。
電気新聞2019年10月17日
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