丸の内仲通りの地下に新設する洞道
丸の内仲通りの地下に新設する洞道

 三菱地所グループの丸の内熱供給(東京都千代田区、田島穣社長)は、東京・有楽町地区の安定供給体制を強化する。各ビルに蒸気と冷水を供給する配管を通す洞道を新設する。ビルからビルへとつながる配管構造を見直し、ビルを建て替えても供給が途絶えないようにする。現在は配管がつながっていない丸の内二丁目地区との統合化も進める。再開発が進む東京駅周辺でエネルギー供給の効率化と強靱化を実現する。

 丸の内熱供給は2018年10月に竣工した丸の内二重橋ビルに、最新鋭の高効率プラントを建設した。ボイラーの機器効率は97%と高く、二酸化炭素(CO2)排出量の削減に貢献する。従来は蒸気のみを供給していたが、冷凍機を設置して冷水の供給も始めた。丸の内二重橋ビルには東京商工会議所などが入居している。

 現在、蒸気配管は一筆書きのようにビルからビルへとつながっており、配管の途中にあるビルが建て替えになると下流に供給できなくなってしまう。そこで丸の内二重橋ビル正面の丸の内仲通り地下に250メートルの洞道を新設する。その中に幹となる配管を通し、そこから各ビルに蒸気や冷水を分配することで街の再開発を妨げないようにする。ビルの事業継続計画(BCP)対策を強化する狙いもある。洞道は20年12月の完成を計画する。

 有楽町地区と、隣接する丸の内二丁目地区の蒸気配管を19年12月につなげる計画も進める。高効率プラントを優先的に稼働させて全体のエネルギー効率を向上させる。配管の連系後は既設のプラントの廃止を予定する。

 日本熱供給事業協会(会長=広瀬道明・東京ガス会長)は18日、報道陣に丸の内二重橋ビルプラントを公開した。広瀬会長は日本で初めて地域熱供給が導入されてから来年で50周年を迎えることに触れ、「地下に大規模施設があることはあまり知られていないので、これからも熱供給事業に理解と支援をお願いしたい」と述べた。

電気新聞2019年9月19日