営業運転を開始した山葵沢地熱発電所
営業運転を開始した山葵沢地熱発電所

 Jパワー(電源開発)は20日、山葵沢地熱発電所(秋田県湯沢市)が営業運転を開始したと発表した。当初は4万2千キロワットの計画だったが、地熱資源を有効活用する視点で各設備の仕様を精査した結果、採取する地熱資源量を変えずに出力を4万6199キロワットに向上させることに成功。出力1万キロワットを超える大規模地熱発電所の稼働は国内で23年ぶりとなる。
 事業を手掛ける湯沢地熱(湯沢市、大泉博幹社長)はJパワーが50%、三菱マテリアルが30%、三菱ガス化学が20%を出資し、2010年に設立された。山葵沢地熱には15年に着工した。
 山葵沢地熱発電所は約9万世帯分の電力を賄う。FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を活用し、1キロワット時当たり26円(税抜き)で東北電力に売電する。発電所の面積は約15万7千平方メートルとなっている。
 発電にダブルフラッシュ方式を採用したのも特徴だ。同方式では、生産井で地下から地熱流体を取り出し、二相流輸送管から気水分離器に送り、蒸気と熱水に分離する。蒸気は輸送管を通して発電所に送られ、タービンを回す。熱水はさらに減圧して低圧の蒸気を作り、発電に利用する。シングルフラッシュ方式と比べ、同じ地熱資源量でも出力を高められる。
 山葵沢地熱は、国内の地熱発電所として5番目に大きい出力となった。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)から地熱資源開発資金債務保証事業として支援を受けている。地熱発電設備のエンジニアリング、調達、建設工事は東芝エネルギーシステムズが担当した。
 湯沢地熱の大泉社長は「完成した設備の能力を最大限に発揮できるよう、社員一丸となって効率的な運営にあたりたい」と意気込みを語った。
電気新聞2019年5月21日