住友電気工業は16日、英国とベルギー間を結ぶ高圧直流送電線の工事が完工したと発表した。全長は約141キロメートルで送電容量は100万キロワット、電圧は40万V。架橋ポリエチレン(XLPE)絶縁ケーブルを使用した送電線としては世界最高電圧となった。欧州では出力が不安定な再生可能エネルギーを融通するため、国際連系線の構築が進んでおり、今回の工事もその一環となる。

 送電線は英国南東部のケント州とベルギーのゼーブルージュを結んでいる。住友電工子会社のジェイ・パワーシステムズが2015年に受注していた。発注者は、送電関連事業者となる英国のナショナルグリッド社とベルギーのELIA社の合弁会社「ネモリンク」。住友電工は15日に引き渡しを行った。

 送電線に採用した直流XLPE絶縁ケーブルは、許容運転温度の高さが強み。従来品より約20度高い90度でも運転可能となる。

 環境保全性にも優れていることから、世界で採用が加速している。これまでの同ケーブルを使用した商用線路の最高電圧は32万Vだった。

 直流のXLPE絶縁ケーブルは3月に運転を開始した北海道と本州間を結ぶ北斗今別直流幹線でも使用。住友電工は、北海道電力から同幹線の青函トンネル内のケーブル敷設工事を受注しており、3月に完工していた。海峡トンネル内の超高圧ケーブル敷設工事としては世界最長だった。

電気新聞2019年5月17日