洋上風力発電が日本の電力供給を支える10、20年後の将来を見据え、新たな直流送電システムの技術開発が進んでいる。風況に恵まれる北海道や東北、九州に立地が増えていく洋上風力で発電した大量の電気を、遠く離れた電力の大消費地である首都圏や東海、関西地方へ、低コストで効率的に送電できるシステム構築が必要となる。
国は洋上風力の促進区域として東北、関東甲信越、九州の10海域を指定し、導入量は合わせて450万キロワット余りとなる計画。着床式洋上風力は4年後の2028年から、順次運転を始めていく。
長距離送電には、電力システムで一般的に用いられる交流よりも直流の方が適している。交流は距離が長くなるほど、電力損失が大きくなり経済性に劣る短所がある。整備する送電線の数も、交流の3本に比べ直流は2本で済み、資材費を抑えられる利点がある。
直流の短所は、交流と直流を変換する「交直変換所(端子)」が必要で整備費がかかる点がある。ただ、設備費を比較すると、架空送電線で400~700キロメートル以上、海底ケーブルで50~100キロメートル以上の送電となる場合は、直流の方が交流よりも費用が安価になるとされる。
国内では、2カ所の交直変換所の間を直流送電線で結ぶ「2端子直流送電」が、東京・中部間の異周波数連系や北海道と本州間、関西と四国間など長距離の海底ケーブル送電で導入されている。
電力広域的運営推進機関のマスタープランでは、北海道から東京まで日本海側を海底直流送電で結ぶ計画で、2端子直流送電を2セット導入する。北海道と東北間、東北と新潟県の間に分けて整備し、概算の工事費は1.5兆~1.8兆円と試算される。
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