東京商品取引所の電力先物市場の取引高が7日急増した。1日当たりの取引高(電力量ベース)として、上場以来最多となる1億5372万キロワット時が立会外で成立した。直近3カ月分の取引高を1日で上回る規模だ。背景には、三菱UFJ銀行が電力先物の参加資格を取得し、業務を開始した影響があるとみられる。与信リスクの低減などによって取引の拡大につながった可能性がある。

 7日の取引で成立したのは東エリア・ベースロード(BL)の2025年4~9月限で各350枚。枚数ベースでは22年5月13日の2819枚に次ぐ2番目の水準だ。価格は13円40銭~17円74銭。24年8~10月の月間取引高が計約1億2千万キロワット時だったため、1日でこれを超える計算になる。

 三菱UFJ銀は8月末、東商取の電力先物市場に参入する意向を表明。受託取引参加者資格と清算資格を取得し、一貫して業務を手掛ける体制を整えた。10月から本格的に業務を開始していた。

 電力先物で取引を行うには、相手方の与信リスクを低減する必要がある。三菱UFJ銀が高い信用力を背景に参加者と市場をつなぐことで、電力先物の取引量が拡大するとの見方があった。一方、東商取のLNG先物市場でも取引高が伸びている。7日取引終了時点で155枚(1枚は100万BTU)と、早くも月間取引高として過去最多を記録した。期間限定で導入しているマーケットメーカー(MM)制度の拡充策が功を奏したとみられる。取引成立は8月以降、4カ月連続。

 東商取はMM制度に一定の効果があったとみて、実施期間を延長する予定。電力・LNGいずれも12月~25年3月まで継続される見通しだ。

電気新聞2024年11月11日