石油資源開発(JAPEX)は19日、系統用蓄電池事業に参入すると発表した。千葉市内の同社研究施設内で出力1999キロワットの系統用蓄電池の建設に同日着工した。卸電力市場や需給調整市場に供出することで収益を得るとともに、知見・ノウハウを蓄積して事業機会の一層の拡大につなげる狙いだ。2025年春頃の運転開始を目指す。
千葉市にある同社技術研究所構内で19日、「JAPEX美浜蓄電所」に着工した。リチウムイオン蓄電池で、容量は6千キロワット時。EPC(設計・調達・建設)はJFEエンジニアリングが受注した。同社がパワーコンディショナー(PCS)を含む蓄電池システムを納入する。
JAPEXは収益化に向け、卸電力市場や需給調整市場、容量市場での取引を想定。東京エリアでの再生可能エネルギーの導入拡大に加え、電力の安定供給、需給バランスの改善につなげる。同社では「事業化を目指す一方、管理・運営の知見・ノウハウを蓄積することで、今後の収益機会の拡大を図っていきたい」と話す。
今回の案件は、東京都環境公社の「系統用大規模蓄電池導入促進事業助成金」に採択された。電力系統に直接接続する大規模蓄電池の設置費用の8割を助成金で賄う。
JAPEXは22年3月に策定した30年までの経営計画で、油価変動など外部環境に左右されにくい収益構造の確立を目指す方針を表明。同社をはじめ5社が出資する福島ガス発電で、ガス火力の運営・管理に取り組むほか、太陽光やバイオマスなど再エネ事業にも力を入れている。
電気新聞2024年8月20日