◆全長は86キロメートル
福島送電は2日、「福島イノベーション・コースト構想」に基づいて設計・建設を進めてきた送電網と関連施設が7月末で全て竣工したと発表した。2016年の同社設立から約8年がかりで完成した。総工費は約340億円で、施工は関電工とユアテックが担当した。再生可能エネルギー事業者が発電した電気を送電するための自営線として運営する。
今回竣工した送電網を通じて再エネ事業者が太陽光と風力で発電した電気を送電する。電気は福島送電の変電所などで東京電力パワーグリッド(PG)に買い取られ、福島送電の送電網を通じて東電PGの受電地点(大熊開閉所、都路変電所)まで振り替え供給される。
送電ルートの全長は86.02キロメートル。鉄塔用地の確保に時間のかかる架空送電方式ではなく、自治体の協力を得て公共道路に埋設する方式を採用した。約9割が地下に埋まっている。また、福島イノベーション・コースト構想で設置が決まっていた発電所の出力に合わせて送電線の電圧や変圧器容量を設計し、コストを抑えた。
施設整備の進捗に合わせて23年度までに太陽光発電所11カ所と風力発電所1カ所の計約24万キロワットと連系済み。今後、27年度にかけて風力10カ所との連系が計画されており、総発電容量は約62万キロワットに増える予定。
福島送電は福島イノベーション・コースト構想を受けて福島県が策定した「福島新エネ社会構想」に基づいて設立された。16年に福島送電準備合同会社が設立され、17年に福島送電合同会社に社名を変更。19年に送電事業ライセンスを取得し、電気事業法改正に伴い同年株式会社へ組織変更した。現在、福島発電、東京電力ホールディングス(HD)、東邦銀行、福島商事が出資している。
電気新聞2024年8月5日
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