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 全日本電気工事業工業組合連合会(全日電工連、米沢寛会長)が主催する第3回電気工事技能競技全国大会が11月30日、東京・両国の両国国技館で開催された。電気工事技術者の資質と技術水準の向上を通じて電気工事業界の発展につなげるとともに、女性電気工事士の活躍の場を広げ、将来の担い手育成や入職促進などの一助とすることが狙い。一般の部30人に加え、女性の部5人、高校生の部9人の計44人が出場。全国から選抜された選手たちが日本一の座を目指し、日頃培った技を競い合った。

 

米沢会長「新たな電気の形を提案する仕事」。2000人が声援送る

 
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 今回のテーマは「目指せ“頂上”(てっぺん) 燃やせ熱き魂 競え極限の技」。会場には2千人を超える観客が来場し、地元の選手を応援。選手たちの見事な手さばきを見つめるとともに、その手際や作業上の工夫を参考にしようと熱い視線を注いでいた。

 主催者を代表してあいさつした米沢会長は「我々の仕事はライフラインを支えているというプライドと使命を持つ大変有意義なもの。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を利用し、新たな電気の形を提案できる、クリエーティブな仕事にもなりつつある。皆さんとともに社会の期待に応えるために頑張っていこう」と訴えた。
 

課題はLED照明、LANケーブル、EVコンセントなど最先端を幅広く

 
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 競技課題は電線配線や配管、電灯盤などの設置を組み合わせたもの。一般と女性の部は人感センサーを使ったLED照明の制御やLANケーブル接続、USBとEV(電気自動車)コンセントの取り付けも含まれており、幅広い技術が要求された。

 一般の部の競技時間は180分。1人KY(危険予知)から始まり、多くの観客が見つめるプレッシャーの中でも選手たちは機敏で正確な動きを披露した。

 女性の部の制限時間は、一般の部より30分短い150分。金属管などの配管の本数を減らし、一般の部よりも一部簡略化されているが、必要とされる技能は一般の部と変わらない。ほとんどの選手が時間内に作業を完了し、わずかな差が勝敗を分けた。

 高校生の部では、弱電課題を新たに追加。LANケーブルの配線と成端といった施工技能や知識が要求された。120分の競技時間の中で、プロの電気工事士にも負けず劣らず、堂々と課題に向き合っていた。
 

金賞は小嶋さん(一般)、髙さん(女性)、新橋さん(高校生)に

 

一般の部で金賞を受賞した小嶋さん
一般の部で金賞を受賞した小嶋一彦さん

 競技の結果、一般の部では新潟県の小嶋一彦さんが金賞を獲得。女性の部では熊本県の髙奈津美さん、高校生の部では茨城県の新橋翼さんがチャンピオンに輝いた。各部の最優秀者には経済産業大臣賞、国土交通大臣賞、文部科学大臣賞が併せて贈られ、さらに、小嶋さんは3代目の「JAPAN e SKILL CHAMPION」、髙さんと新橋さんは、それぞれ2代目の「JAPAN e SKILL LADY’S CHAMPION」と「JAPAN e SKILL JUNIOR CHAMPION」の称号を手にした。

 一般の部で金賞を受賞した小嶋さんは「仕事を調整してもらい、練習に集中することができ、栄誉ある賞を受賞できた。ありがとうございます」と喜びを語った。

 この他、日本電気協会特別賞として、安全作業大賞を滋賀県の古市泰幸さんが受賞し、日本電気協会の古澤宏専務理事から表彰状などが手渡された。

女性の部、最優秀賞の髙さん
女性の部、最優秀賞の髙さん

高校生の部、最優秀賞の新橋さん
高校生の部、最優秀賞の新橋さん
一般の部で銀賞を受賞した渡辺さん(左)と佐々木さん
一般の部で銀賞を受賞した渡辺さん(左)と佐々木さん

 
◆受賞者は次の通り(敬称略)
 【一般の部】▽金賞=小嶋一彦(本間電機工業)▽銀賞=渡辺嚴裕(拓北電業)、佐々木隼(日興電気)▽銅賞=上樂久雄(稲井電機)、曵地道弘(サン電工)、安部良(安部電気工事)▽安全作業大賞(日本電気協会特別賞)=古市泰幸(古市電工)
 【女性の部】▽最優秀賞=髙奈津美(九州電設)
【高校生の部】▽最優秀賞=新橋翼(茨城県立玉造工業高校)▽優秀賞=山内泰輝(愛媛県立今治工業高校)

電気新聞2018年12月3日