山進が製作する機体は最大55キログラムの重量物を運搬可能

◆機体性能と操縦能力 結集

 ◇協議会旗揚げ

 ドローンで重量物を運搬するサービスの安全性向上と費用削減、作業効率の改善を目指した「重量物運搬ドローン協議会」が昨年12月に発足した。原子力発電所のメンテナンス営業などを展開するトーワエレックス(東京都千代田区、相馬淳一社長)が中心となり、加盟各社の安全技術や知見を共有。送配電会社と関連産業を対象に、より安全で費用を抑えたサービスを提供する。営業情報も持ち寄り、重量物運搬サービスの市場も拡大したい考えだ。

 協議会に参加するのは同社に加え、グループ企業のトーワドローンサービス(富山市、相馬淳一社長)、ドローンの開発などを手掛ける山進(千葉県栄町、山崎進一代表)、ドローン関連サービスのスカイフィールド(島根県出雲市、祝部良浩代表)の4社。

 各社はこれまでも協力関係にあったが、協議会を立ち上げることで関係をさらに強化。送配電会社などへ重量物運搬サービスを提供する体制も整えた。

 電力各社とつながりの深いトーワエレックスが営業窓口を務め、トーワドローンサービスが運搬サービスの計画や調整業務を担当。山進とスカイフィールドが運搬計画に沿ってドローンの操縦に取り組むといった役割分担だ。

 同協議会のサービスで用いる機体は山進が製作する最大積載量55キログラムのドローン「XYZ機」。トーワドローンサービスは重量物運搬サービスで様々な機体を扱ってきたが、XYZ機が「1日あたりの飛行回数と運搬距離が(他社製の機体と比べて)ずばぬけている」(相馬社長)ため採用することにした。

 この機体を用いることで他社サービスよりも迅速に作業を進められるという。さらに相馬社長によると、山進とスカイフィールド社員のドローン操縦技術は抜群に優れており、安全運航への意識も非常に高い。

 ◇日本一目指す

 優れた機体と秀でた操縦能力を売り文句にし、相馬社長は「当協議会に発注すれば費用を抑えて安全で効率的に作業が進むことをアピールしたい」と強調。「重量物の運搬サービスで日本一のチームに仕立てたい」と意欲を見せている。

 協議会の加盟各社は送電鉄塔の保修作業など向けで、すでに重量物運搬の実績を持つ。トーワドローンサービスは東京電力パワーグリッド(PG)の50万V鉄塔へ塗料を運び、スカイフィールドは中国電力ネットワークと九州電力送配電の鉄塔まで塗料や資機材を運搬した実績がある。山進は北陸電力送配電や東電PG向けの運搬を担い、鉄塔基礎を保修するための生コンクリートを輸送した経験も持ち合わせている。

電気新聞2024年1月15日