指先に神経を集中させて光ファイバーケーブルの融着接続に取り組む選手
指先に神経を集中させて光ファイバーケーブルの融着接続に取り組む選手

 第56回技能五輪全国大会は、11月3、4日に沖縄県内各地で競技が行われた。電力系電気工事会社各社から出場した選手たちもこれまで磨いてきた技を存分に披露した。深呼吸して気持ちを落ち着かせながら普段の力を発揮した選手、極度の緊張から生じてしまった凡ミスに涙を流す選手など様々なドラマが繰り広げられた。会場には企業の応援や学生、地元住民など多くの来場者が訪れ、国内最高峰の技に熱い視線を注いでいた。

 電工職種は3日に沖縄市立総合運動場で行われ、51人の選手が出場した。課題は電球やスイッチ、制御盤などの装置と、それらをつなぐ配線・配管の敷設。さらに、モーター制御回路の施工や電灯制御のプログラミングも行った。課題の一部は事前公表のものから変更され、当日に初めて公表される部分や抽選で決定される部分があり、臨機応変の対応が求められた。5時間半に及ぶ競技時間の中で、選手はみな実力の全てを出し切った。今回は沖縄県の歴史・文化の象徴である“首里城”の形をモチーフにした。

 前年の入賞者など有力選手の周囲には見学者とカメラの人垣ができるほどの人気ぶり。唯一の女性選手である山本茜さん(関電工)も注目を浴びていた。来場者は選手たちの巧みな手際や、きびきびした動きを熱心に見つめていた。

 情報ネットワーク施工職種は、2日間の日程で豊見城市民体育館で開催。関電工4人、北陸電気工事3人、きんでん5人を含む計24人の選手が「トラブルシューティング」「接続スピードチャレンジ」「ケーブル配線施工」の競技に挑戦した。正確性とスピードを競う光ファイバーケーブル融着接続の課題では、細かく素早い見事な指先の動きに多くの見学者が見入っていた。

関電工が表彰台を独占した配管職種
関電工が表彰台を独占した配管職種

 電工職種と同じ沖縄市立総合運動場で開かれた配管職種は、55人の選手の中に関電工から3人が出場した。銅管や鋼管、塩化ビニール管などを組み合わせた水回り設備を施工。今回、排水通気配管について立管と洗面器の位置だけを課題図に表示。配管経路は任意とし、材料表に基づいて選手に考えさせる要素を取り入れた。数ミリの誤差が結果を左右するなど、繊細さが求められた。

 3世代で応援に来た選手の親は「成長した姿を見られて感激。ここまで教えてくれた工業高校の先生、会社の方々にはとても感謝している。本人が満足できる作品を完成させてほしい」と目を潤ませながら話していた。

電気新聞2018年11月6日