会見する東京ガスの内田社長(11日、東京・大手町)
会見する東京ガスの内田社長(11日、東京・大手町)

 東京ガスは11日、2020年度を目標年度とする経営計画「GPS2020」を更新したと発表した。低圧電力小売りの目標件数を20万件増やし、240万件に上方修正した。分散型エネルギーの普及を踏まえ、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)切れ太陽光の買い取りサービスや、電気自動車(EV)向け料金メニューを導入する方針も示した。電力事業を充実し、都市ガスの既存顧客を死守したい考えだ。

 同日に都内で記者会見した内田高史社長は、ガスの顧客が9月末までに約50万件離脱したことに触れながら、「首都圏競争が本格化している」と危機感を示した。一方、「ガスの離脱ペースは1分当たり1件弱だが、電気は1.5件獲得できている」と手応えを語った上で、「電気とガスを両方契約してもらえれば、解約率は1%に満たない」と説明。目標件数を約1割増やしながら、電力小売りの営業に力を入れていく構えだ。

 引き続き、地域販売店「ライフバル」による訪問営業を推進しつつ、「異業種と組んでサービスを増やしていく」(内田社長)との方針も示した。その一環として、放送通信サービスのジュピターテレコム(JCOM、東京都千代田区、井村公彦社長)と、都市ガス小売りの取次で提携した。東ガスが自社エリアの都市ガス小売りで提携するのは初めて。

 EV市場の拡大をにらみ、今年下期に日産自動車と連携することも明らかにした。EV専用の電気料金メニューを提供する。内田社長は「自社電源の電力が夜間に余ってしまうため、EV充電に使ってもらう」と狙いを説明した。

 FIT切れ太陽光の買い取りサービスも始める。内田社長は「消費者同士が電気をやり取りするようになれば、電力・ガス会社以外にもデジタル会社が参入していくだろう。この領域はこれから始まるので、我々も入っていきたい」と意欲を示した。再生可能エネルギー関連では、海外投資の一環として60万キロワット獲得する数値目標も新たに掲げた。

電気新聞2018年10月12日