欧州連合(EU)統計局のユーロスタットによると、2022年におけるEU域外国からのグリーンエネルギー製品の輸入額は、前年比約2倍の284億ユーロ(約4兆6千億円)となった。対象は風力発電機器と太陽光発電パネル、液体バイオ燃料の3製品で、特に太陽光パネルの輸入が前年比約2.5倍の226億ユーロと大幅に増えた。輸入相手は中国の割合が大きく、太陽光パネルとその関連部材は同国からの輸入額が全体の96%に達した。

 9日に発表した。ユーロスタットはロシアによるウクライナ侵攻以降、同国からのエネルギー供給に依存するEUの脆弱性が浮き彫りになっていると解説。その上で、グリーンエネルギー製品の輸入量増加はエネルギー依存度を軽減できる点で重要と指摘した。

 風力発電機器の輸入については、前年比17%増の8億ユーロ、液体バイオ燃料は、前年比49%増の51億ユーロだった。風力発電機器も中国からの輸入が多く全体の61%を同国が占めたが、19年の87%をピークに中国からの輸入額は減少傾向にある。

 EUからの輸出額も公表している。22年のグリーンエネルギー関連3製品の輸出額は37億ユーロで、前年比で27%の減だった。風力発電機器の輸出額の減少が顕著で、22年は前年比59%減の13億ユーロにとどまった。太陽光パネルは前年比44%増の8億ユーロ、液体バイオ燃料は前年比23%増の16億ユーロだった。3製品の中で風力発電機器は21年まで輸出額がトップだったが、22年に首位を液体バイオ燃料に譲った。ユーロスタットは風力発電機器の「劇的な減少」と指摘している。

 EUへの製品輸入を巡っては、EU域内への輸入品に炭素コストをかける炭素国境調整メカニズム(CBAM)が、導入を見据えた移行期間に入っている。現状で今回の太陽光パネルなど3製品はCBAMの対象外だが、エネルギー関係では水素、アンモニアなどが対象に入っている。

 EUは鉄鋼など多排出な製品をCBAM対象にすると公表しているが、日本を含めEU域外国は対象製品の広がりを警戒する。対象拡大はEUの裁量になるため、経産省関係者は「動向を注視するべき」と指摘する。

電気新聞2023年11月21日