IHIは資源・エネルギー・環境事業で、既設機器に保守やサービスを提案する「ライフサイクルビジネス(LCB)」を伸ばす。25年度までの中期経営計画で、最大の営業増益要因となる。中東やアジアで他社製ボイラーへの提案を強化する。バーナー改造やリプレース案件の獲得を狙う。ガス火力のEPC(設計・調達・建設)受注も拡大し、ガスからアンモニアへの燃料転換を推進する構えだ。


 
27日、事業領域説明会をアナリストや報道向けに開いた。資源・エネルギー・環境事業の25年度営業利益は310億円と、22年度から約18%伸ばす計画だ。説明会で増益要因の内訳を示し、LCB拡大で62億円の押し上げ効果を見込んだ。武田孝治常務執行役員・資源・エネルギー・環境事業領域長は「LCBで稼ぎ、カーボンニュートラル関連の取り組みに投資する」と意義を語った。

 主力のボイラーは他社製案件を取り込む。改造工事や保守で発電効率の向上に貢献する。アンモニアやバイオマスへの燃料転換で、脱炭素化のニーズにも応える。外部人材獲得を通じて他社製機器の知見を獲得する。

 アジアではガス火力やLNGタンクのEPC(設計・調達・建設)受注が好調だ。シンガポール子会社は昨年度、3年分の売上高に当たる1800億円の受注を獲得した。IHIは米ゼネラル・エレクトリック(GE)と大型ガスタービン(GT)でアンモニア専焼技術の開発に取り組むほか、LNG受け入れ基地をアンモニア受け入れ基地に転用する検討も推進する。低炭素化から脱炭素化までカバーする戦略だ。

 LCBでは定期点検や部品供給などの既存事業をベースに、深掘りを目指す。設備の稼働状況や蒸気・熱消費量など、顧客データを活用して課題解決に貢献する。生産性向上や二酸化炭素(CO2)排出量の見える化といった価値を提供する。

電気新聞2023年9月28日