各一般送配電事業者の今夏(7、8月)のエリア需給実績が9月末までに出そろった。東日本3エリアの太陽光発電量(自家消費分を除く)が前年比3割超増加し、需要電力量の増分を賄った。西日本6エリアの太陽光発電量も同1割増と堅調。原子力発電量は同7割増え、火力発電量の2桁減につながった。
東日本の7、8月合計の需要電力量は、記録的猛暑によって同3%増の744億キロワット時となった。7月は微減だったが、8月の北海道、東北エリアの伸び率がそれぞれ8%、11%と大きかった。
日照に恵まれて太陽光発電量も伸び、同33%増の85億キロワット時を稼いだ。需要電力量の増分に当たる21億キロワット時を、太陽光発電量の伸びで賄ったことになる。太陽光は7月16日頃から高稼働率を維持し、特に8月の東北エリアの発電量は同1.5倍以上に急増した。一方、水力発電量は同14%減の49億キロワット時と振るわず、火力発電量は同2%増の582億キロワット時に増加した。
火力発電量が増えたのは東北エリアのみで、同15%増。北海道、東京エリアはともに同2%減少した。連系線を利用した東北エリアからの送電量は同44%、東京エリアの受電量は同21%増えており、卸電力取引によって東北から東京向きの潮流が強まったとみられる。
西日本の2カ月合計の需要電力量は、同1%減の883億キロワット時とマイナスだった。太陽光発電量が同10%増の108億キロワット時、原子力発電量が同69%増の147億キロワット時に増えた分、火力発電量は同15%減の520億キロワット時となった。発電量全体に占める火力の割合は6割を切った。
西日本をエリア別にみると、連系線を利用した中部エリアの受電量が倍増しているのが特徴だ。需要電力量は同1%増えた一方で火力発電量は同10%減少しており、卸電力取引による電源の経済差し替えが活発だったもようだ。
全国10エリアの2カ月合計の需要電力量は同1%増の1645億キロワット時と微増だった。水力発電量は減少したが、太陽光と原子力の発電量が増加した分、火力発電量は同7%減に抑制された。
電気新聞2023年10月5日
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